RTX5060 Ti 16GB を入手しましたのでVRChat用途での使用感をレビューします。RTX4060 Ti RTX3060 Ti も手元にありますので、比較して性能レビューも行いました。
RTX5060 Ti のスペックをおさらい

VRChat 目線でRTX5060 Ti のスペックで注目すべき点は二つある。一つは、VRAM 16GB モデルが存在すること。VRAMを多く利用するVRChatにおいてはVRAM8GBは少なすぎるため、このような大容量モデルの選択肢はありがたい限りだ。2つ目は前モデルのRTX4060 Ti で大幅にデチューンされたメモリ帯域幅が RTX3060 Tiと同じ値に戻ったことだ。 後述の実験結果でも述べるが、RTX4060 Ti と RTX4060 は前世代と比べてメモリ帯域幅のデチューンにより、VR用途ではパフォーマンスが振るわず、コスパの悪いグラボだった。その点が、RTX5060 Ti でどこまで改善しVRChat用途で遊べるグラボになっているのかも比較検証を行った。
今回のレビュー機種・検証環境
玄人志向 GG-RTX5060Ti-E16GB/OC/DF

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玄人志向から販売されている、GALAKURO ブランドの RTX5060 Ti 16GB を今回はレビューする。2連ファンのコンパクトモデルで冷却はそこまで強くないモデルだが、長時間のVR利用でもGPU温度は65℃を超えなかった。ファンの音も筆者の環境では簡易水冷の音のほうがよっぽど五月蠅いため、気にならなかった。外観は少しチープな印象でRGBファンもそこまで綺麗ではない。しかし、RGBファンの発光ON OFF をグラボ側面にあるスイッチで選べるため、V睡中にパソコンがギラギラ光ってほしくないVRChatter には嬉しい。なお、玄人志向は、V-ket にも出店実績のある企業でVRChat ユーザーにとっては意外と身近な存在である。3年保証の安心感もあるので、他メーカーと迷った人は是非GALAKURO グラボを購入して、玄人志向を応援してほしいのが筆者の個人的な願いだ。
(ちなみに筆者の最推しグラボメーカーはZotacだがその話は別記事で)
検証環境

普段は RTX4090 が刺さっている筆者のメイン機に対して、グラボを入れ替え OSを入れ直し検証を行っている。2025年5月時点では最高峰のゲーム性能を誇る Ryzen 9 9950X3D を利用したため、CPUボトルネックが起きにくくGPU性能の比較ができる構成で検証をしている。なお、Ryzen9 のパフォーマンスを引き出すための設定は適切に実施している状態で常に検証を行っている。設定方法は下記の記事の内容で実施している。また、グラフィックドライバーは576.XX で検証を行っている。 3週間行った実使用検証の際は、マイナーバージョンが途中でバージョンアップしている点はご容赦願いたい。しかし、グラボ3枚の比較の際はすべて576.40 で比較検証を実施した。
検証結果
5060 Ti 16GB を3週間 メイン機として利用


上記の設定で 982分(16時間) 普段通りVRChatを遊んだところ、71.93 fps という結果になりました。大人数の非常に重たいパブリックインスタンスに行っても25fps以上を維持しており、全くトラブルもなく快適そのものでした。VRAMが8GBしかないグラボでは困難なVirutalLens2 を使った写真撮影も問題なくできました。
VirutalLens2 (4K アンチエイリアス x8) での撮影の際は、さすがにfpsの低下が激しく、1人インスタンスで35fps前後まで落ち込みました。しかし、RTX3060TiだとVRChat の操作もまともにできなくなるほどに動作が重くなるので、それと比べると十分に快適です。また、普段RTX4090 で遊んでいる筆者としても十分に遊べる画質で全く不自由しない程度のfps が発揮されていると感じており、ほとんどのVRChatユーザーは RTX5060Ti 16GB で満足なVR体験ができると思いました。
フレンドPCと同じ負荷をかけて比較


上記の前提で、フレンドと条件をそろえて負荷をかけたところ、上記のような結果となった。PC構成やネットワーク環境が大きく異なるので厳密な比較ではない点には注意が必要だが、RTX5090 でも32fpsしか出ないような非常に重たい状況でも RTX5060Ti のPCは 27fps は出ていたため、多くのインスタンスで実用的な性能だろう。また、併せてRTX5060Ti と RTX4070Ti Superで VRAM の使用量に関する挙動に差がないかも比較をした。結果は、RTX 5060Ti 16GB と RTX4070 Ti Super で全く同じVRAM使用量で12.0GBだった。RTX50シリーズはVRAM圧縮効率が向上していると公表されているが、あくまでニューラルテクスチャー圧縮(NTC)技術に対応しているゲームに限った話であることがこの結果からも確認できたといえるだろう。

60Ti シリーズ を 3世代で比較
Particl Live ワールドで 負荷をかけた時の平均fps

上記のParticl Live ワールドはGPU負荷が高く、再現性のある負荷がかけれることから、このワールドでの片目当たり解像度度ごとのfps を取得した。
Midium 2016x2112

High 2496x2592

Ultra 2688x2784

GodLike 3072x3216

重いアバターを視界に入れた際の fps

重いアバターを視界に入れた際のfpsを上記の設定で比較した。VRChatアカウントを複数用意し、複数の衣装を最適化もさせずにポン入れ状態のアバターを1体用意し、そのユーザーを視界に入れた状態で鏡をオンにしてfpsを測定した。
Midium 2016x2112

High 2496x2592

Ultra 2688x2784

GodLike 3072x3216

比較まとめ RTX4060Ti / RTX 4060 比では fps 1.5倍になる場合も
RTX5060Ti は RTX4060Ti と比較して 1.5倍近いfps が出ている。RTX4060Ti のメモリ帯域幅の狭さがボトルネックとなっており、大きな差を生んでいるのだろう。対して、RTX3060Ti に対しては、1.1倍程度の差にとどまっている場面もあり、RTX4060Tiと比べると差が少ない。RTX3060Ti ユーザーからの乗り換え先としては劇的なfps向上とはならないだろう。
まとめ: VRChat用途での RTX5060 Ti 16GB はお勧めできる
筆者が普段使っているRTX4090と比べても、 RTX5060Ti 16GBは快適にVRChatを楽しめるだけの性能を備えていると感じた。もちろんfpsの差は大きいが、非常に負荷の重い状況でも最低限以上のfpsを発揮できるため、多くのVRChatユーザーにとって充分な性能だと感じた。また、大容量のVRAM16GBを使えることもやはりおすすめする理由である。 アバターテクスチャサイズの上限が500MBになった現在のVRChatではVRAM を無尽蔵に消費するケースは減ったものの、衣装・アバター集会など一部のイベントでは依然として VRAM 使用量が跳ね上がる。こうした高負荷インスタンスへ頻繁に参加する場合、12 GB では不足するリスクがある一方、16 GB を積む RTX 5060 Ti なら比較的安心できる。
ただし、RTX 5070 との実売価格差は約 1.5 万円と小さく、選択に迷うのが正直なところだ。VRAM 帯域幅がきわめて狭かった RTX 4060 シリーズとは異なり、RTX 5060 Ti は VR 用途でも帯域面のボトルネックが少なく、上位モデルとの差は体感しづらいだろう。コストを抑えつつ VRChat を安定して楽しみたいなら、RTX 5060 Ti VRAM 16 GBモデル は堅実な選択肢と言えるだろう。※
初心者の方は、誤ってVRAM 8GBモデルを買わないように注意。VRAM8GBモデルも画質設定やセーフティ設定を適切に設定すれば十分に遊べる性能といえるが、VRAM不足に起因するトラブルの発生リスクが高いため、積極的に選ぶGPUではありません。

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