検証の前提条件と環境設定
下記の検証環境を用意し Game Modeが有効な状態とCPU Affinity設定が有効な状態、またその双方が無効な状態で検証を行いました。また、比較対象として、手元にあったRyzen 7 9700X も検証対象に加えて調査を行いました。
テスト環境(CPUと設定)
- AMD Ryzen 7 9700X (設定なし)
- AMD Ryzen 9 9950X3D (設定なし)
- AMD Ryzen 9 9950X3D (Game Mode ON)
- AMD Ryzen 9 9950X3D (affinity=FFFF)
検証PC

なお、9950X3DはPBO OFF 、TDP 170 W設定で稼働しています。CPU クーラーの ARCTIC Liquid Freezer Ⅲ 280 はRyzen 9 9950X3D を十分に冷やしきれており、検証中のCPU温度は最大でも67 ℃でした。(室温:23℃) 普段使いでもVRChat中の冷却は十分だと感じています。


測定方法
- fps 情報取得 :CapframeX
- 目視での状況確認 :VirtualDesktopのパフォーマンスオーバーレイ
- CPUコアの利用状況 :fpsVRのCPU使用率の表示を確認
負荷の増大と主に、fpsがどのように変化するかをCapframeXで記録した。また、ちくわの本数とfpsの変動の相関関係を VirtualDesktopで目視にて確認して記録した。ただし、CapframeXでの測定はSteamVRとの相性が悪いという既知の問題により測定データの取得に失敗することがありました、CapframeXでのデータが取得できなかったテストパターンもあることはあらかじめ断っておきたい。無限に降ってくるちくわを眺め続ける苦行を私以外にもやってくださる方がいればぜひ同じ方法で検証してデータをネットで公開してください。詳細な手順をお教えします。
HMDの接続方法・グラフィック設定
GPU負荷が低いがCPU負荷が高い状況を作り、CPUのパフォーマンスがfps に直接影響するCPUボトルネックな状況を作っています。なお、VirtualDesktopの解像度設定を Highの状態でも同じ結果になることを確認してます。
- HMD: Quest 3
- Virtual Desktopで接続
- 解像度設定:Virtual Desktop Potato(片目当たり)
- グラフィックプリセット:低
- リフレッシュレート:120 Hz
- 極力バックグラウンドアプリケーションは停止
負荷のかけ方(VR)
空から無限にDynamicBone入りのChikuwaが降ってくるワールドで、頭を動かさずにちくわを眺め続けました。CPUだけに非常に高い負荷がかかるうえに、完全ではないもののある程度の再現性がある負荷が発生する。※ここ以外に、VRChat上で再現性のあるCPU負荷をかけることができるワールドや手段をご存じの方がいればぜひ教えてください。
テスト結果
fpsの測定結果

120fpsを最も維持できたのは、affinity 設定を利用した場合だった。なお、この設定を入れた際、Game Modeは無効にして検証を行っている。この設定では、ちくわが480 本を超えるまで、120fpsを維持していた。次にfps が高かったのは、GameModeを有効にしている場合だ。GameMode設定が有効な状態ではちくわが450本を超えるまで、120fpsを維持していた。 そして、適切な設定がされていない9950X3D は 9700X と比べても圧倒的に低いfpsになった。"CCD跨ぎ"による性能低下の影響だろう。
コアごとのCPU負荷分散傾向
Game Mode利用時は、CPUの負荷は完全にCCX0でしか発生しておらず、Game Mode動作に関する期待値通りの動作になっています。対して、affinity 設定を利用している場合は、CCX0に負荷の大半が集中しているものの、CCX1にも少しCPU負荷が発生していました。また、特定のコアがCPU使用率90~100%に偏る傾向が、affinity 設定の場合は確認されました。おそらくWindowsの自動的なコアの負荷分散とaffinity設定の挙動が鑑賞していると推察されます。affinity 設定はあくまでVRChatの処理だけをCCX0に寄せる設定であるため、SteamVRや VirtualDesktop の処理はCCX0やCCX1を行ったり来たりしている可能性があります
断定できないが、どちらかというとGame Mode がおすすめ
2025年3月29日時点の結論としては、Game Mode か CPU affinity 設定のどちらが適切な設定か断定できないと筆者は結論付けた。継続的な利用での安定動作に関する評価がまだのためです。
fpsの測定結果だけ見ると、より高いfpsを発揮できているCPU affinity 設定のほうが適切に見えます。理屈的にもCCX1 が完全に無効化されて、利用できるCPUのリソースが減ってしまうGameModeよりも CPU affinity設定のほうがパフォーマンスがでるのは納得がいきます。しかし、affinity 設定はCPUの負荷の偏り方に不自然な点があり、長期的に利用し安定性の観点でも評価をする必要があると考えている。あくまで今回の結果はちくわが無限に降ってくるワールドでの計測であり、一般的なVRChatの遊び方とは逸脱してる点も考慮が必要です。
ただ、どちらがいいかと聞かれれば、Game Mode をお勧めする。理由は、他のゲームでも9950X3Dのパフォーマンスを最大限に発揮させるにはGame Modeが必要な設定であるからです。モンスターハンターなどのデスクトップで遊ぶゲームで9950X3Dのゲームパフォーマンスを適切に引き出すには、Game Mode設定は必須です。VRChatもGame Mode利用を前提とすることで、設定をONのままで一貫して運用でき、管理がシンプルになるでしょう。VRChatのウィンドウを都度クリックしないといけない点が、 Game Mode 利用時のデメリットではあります。ただ、筆者的にはそこまで苦ではない操作ですし、fpsVRを見たらCPU負荷の偏りからすぐにGameModeがONか確認できるため、そこまで大きなデメリットとは思ってません。ほかのゲームもよく遊ぶなら Game Mode 、VRChatしかやらないなら affinity 設定という判断でもいいかもしれません。
9950X3D は玄人向け
9950X3Dは明らかに高いポテンシャルを持つCPUですが、その性能を安定して引き出すためには、適切な設定と環境整備が不可欠です。筆者としては、ゲーム用CPUとしては面倒な設定や運用なしに利用できる、9800X3DやCore Ultraのほうがおすすめです。本記事では検証していませんが、ゲーム性能に関しては9800X3Dと9950X3Dはほぼ同等であることから、ゲームのみを目的とするユーザーであれば9950X3Dは費用対効果の観点からもお勧めできません。あくまで9950X3Dは自作PC好きのギーク向けCPUであり、そうでないユーザーはほかのCPUを選んだほうが無難だと考えます。
話は若干それましたが、今後も継続的な検証を通じて、9950X3D 利用時にVR体験を最適化するための知見を蓄積していきたい。
余談:CapframeXの測定失敗してた時の気分

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