Virtual Desktopはとてもよくできたアプリだと思ってるのですが、実際AirLinkと比べて優れてるのか調べてみました。
動作環境
PC | Windows10 Pro Windows11 Pro |
CPU | Ryzen 5700G |
GPU | RTX3060 |
メモリ | 16GB |
HMD | Quest2 |
HMD⇔PCの接続方法 | Air Link VirtualDesktop |
片目当たり解像度 | AirLink 2432x2464 VirtualDesktop (High設定)2496x2592 |
HMD fps | 90 |
SteamVR SS設定 | 100% |
VRChat Graphics Quality | Ultra |
VRChat MSAA(Multisample Antialiasing) | x4 |
筆者の検証用サブPCをつかって検証しました。Windows11とWindows10をデュアルブートで同じSSDにインストールし、VRChatのVR動作と測定を行うのに最低限必要なソフトウェアのみインストールした状態で検証しました。ドライバーやソフトは2023/6/2時点の最新バージョンです。なお、5700GはCCX跨ぎという事象でfpsの低下が発生することから、※VRChatの起動オプションに Affinity=FF の設定を入れています。片目当たり解像度やVRChatのグラフィック設定はRTX3060で重すぎず軽すぎない程度に負荷がかかる設定にしています。また、SSWやASWなどのフレーム補完系の設定は全てオフにしています。(※6月3日修正・5700GはCCX跨ぎの問題がないCPUでした。無意味にCPUのコア数制限をかけてる状態での検証になっていますが、Affinity=FFの設定を入れていない状態でも同様の結果になることは確認しています。)
測定パターン
SteamVR や AirLink や公式がWindows11への対応を現時点では明記していません。そのため、今回、OSによる違いも確認するため、下記4パターンで測定・比較を行いました。
測定パターン | OS | ソフト |
No1 | Windows10 | AirLink |
No2 | Windows11 | AirLink |
No3 | Windows10 | Virtual Desktop |
No4 | Windows11 | Virtual Desktop |
測定結果①・ホームワールド鏡の前での負荷
測定パターン | OS | ソフト | Cpu Frame Time | CPU温度 | VRAM使用量 |
No1 | Windows10 | AirLink | 12.1 ms | 63℃ | 6.3 GB |
No2 | Windows11 | AirLink | 11.7 ms | 64℃ | 6.0 GB |
No3 | Windows10 | Virtual Desktop | 5.0 ms | 58℃ | 4.8 GB |
No4 | Windows11 | Virtual Desktop | 5.1 ms | 58℃ | 4.9 GB |
ホームワールドで鏡の前に立った際の負荷比較しました。立ち位置が微妙に異なるうえに瞬間的な記録であるため、厳密な比較ではないことをご留意ください。鏡に近づくとアバターの描画のために負荷があがりfpsが低下します。その際の挙動の差異を比較していますが、注目すべき点はAir Link だと CPU Frame Timeが異様に上昇することと、VRAM使用量が 多いことです。VirtualDesktopのほうがパフォーマンスが優秀なように見えますね。
測定結果②・パーティクルライブ
再現性のある負荷をかけることができるため、パーティクルライブを視聴した際のfps を測定しました。
Windows11 の VirtualDesktop のfpsがほかの環境よりも 5fps も高いという結果になりました。あまりにも差が大きいので上記の4パターンをすべて測定し直しましたが、同じ結果になりました。
時間経過を追ってみると、測定開始から80秒経過したあたりでAirLinkのWin11 環境ではfpsが落ち込んでいることが分かります。45fpsあたりまで落ち込んでいるようにみえることから、ASWが誤動作した可能性がありますが、今回ASWの設定は切っているうえ他の場面ではASWが動作したように見えないことから、Windows11環境だとOcclus のソフトウェアが安定動作しないのかもしれません。
測定パターン | OS | ソフト | CPU Total (%) | CPUPackage(℃) | VRAM使用量 |
No1 | Windows10 | AirLink | 19 | 62℃ | 9.24 GB |
No2 | Windows11 | AirLink | 23 | 61℃ | 9.13 GB |
No3 | Windows10 | Virtual Desktop | 17 | 59℃ | 7.92 GB |
No4 | Windows11 | Virtual Desktop | 20 | 59℃ | 7.79 GB |
結果①と同じようにCPUへの負荷やVRAM使用量を表にすると上記のとおりです。AirLinkはCPUの負荷が高く、VRAM使用量も1GB以上多く使っています。fpsの測定結果には大きな差はありませんでしたが、VRAMやCPUへの負荷状況からVirtualDesktop のほうがパフォーマンス面で優れているように見えます。
まとめ:Virtual Desktop のほうが優秀な可能性が高い
Virtual Desktop は有料のソフトウェアですが、開発も活発で有用な機能が次々リリースされますし、非常に安定して動作しており、Air Link よりも優れていると思っていました。今回の測定結果から、発揮されるfpsの差異は同等以上であるにもかかわらず、CPUへの負荷やVRAM消費量の観点では、明らかに優れていることが分かりました。
ただし、今回の結果は単一の画質設定での測定かつ、かなり限定的なシチュエーションでの測定であるため、ありとあらゆる場面でVirtualDesktop のほうが優秀とは言い切れないのがVRChatのパフォーマンス測定の難しいところだと思います。ですので、実際にVirtualDesktopを使っている皆さんのご意見や測定結果等も見てみたいところです。
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