先日、Virtual Desktop と AirLinkを比較した記事を掲載しましたが、Pico4用公式ソフトのStreaming Assisatant との比較も見たいと要望をいただきました。せっかくなので記事にします。
動作環境
PC | Windows10 Pro |
CPU | Ryzen 5700G |
GPU | RTX3060 |
メモリ | 16GB |
HMD | Pico 4 |
HMD⇔PCの接続方法 | Streaming Assistant (無線利用) Virtual Desktop |
片目当たり解像度 | Streaming Assistant(Ultra設定) 2560x2560 VirtualDesktop (High設定) 2544x2544 |
HMD fps | 90 |
SteamVR SS設定 | 100% |
VRChat Graphics Quality | Ultra |
VRChat MSAA(Multisample Antialiasing) | x4 |
筆者の検証用サブPCをつかって検証しました。VRChatのVR動作と測定を行うのに最低限必要なソフトウェアのみインストールした状態で検証しました。ドライバーやソフトは2023/6/11時点の最新バージョンです。SSWやASWなどのフレーム補完系の設定は全てオフにしています。
測定パターン
今回はWindows10のみでの検証です。
測定パターン | OS | ソフト |
No1 | Windows10 | Streaming Assistant |
No2 | Windows10 | Virtual Desktop |
測定結果①・ホームワールド鏡の前での負荷
測定パターン | ソフト | fps | GPU Frame Time | Cpu Frame Time | VRAM使用量 |
No1 | Streaming Assistant | 64 | 12.7 ms | 5.0 ms | 4.8 GB |
No2 | Virtual Desktop | 75 | 12.7 ms | 4.8 ms | 4.4 GB |
ホームワールドで鏡の前に立った際の負荷比較しました。立ち位置が微妙に異なるうえに瞬間的な記録であるため、厳密な比較ではないことをご留意ください。鏡に近づくとアバターの描画のために負荷があがりfpsが低下します。その際の挙動の差異を比較していますが、Virtual Desktop のほうが若干VRAM使用量が少ないく、fpsがより高いです。
Frame Time の値とfpsの値は相関関係があるのが普通なのですが、今回Frame Time はほぼ同じなのに、Streming Assistant のほうがfpsが低いという結果になっています。これは推測なのですが、Streaming Assistant 利用時のみ SteamVRの設定画面にモーションスムージング設定の項目が表示されることから、SteamVRとの連携部分の仕組みが Virtual Desktopとは根本的に違うのかもしれません。
測定結果②・パーティクルライブ
再現性のある負荷をかけることができるため、パーティクルライブを視聴した際のfps を測定しました。
平均fpsを比較すると、ホームワールドで測定したときと同じくStreaming Assistant のほうが fpsが低い結果になりました。 平均で8 fpsも異なりますが、複数回測定しても同じ結果になりました。
時間経過とfpsをグラフで見ると、Virtual Desktopのほうが常に8fps 程高いようです。
測定パターン | ソフト | VRAM使用量 | GPU Core(%・Avg) |
No1 | Streaming Assistant | 7.8 GB | 82 % |
No2 | Virtual Desktop | 7.6 GB | 93% |
VRAM使用量とGPUの使用率の違いを表にしました。VRAM使用量は 誤差かもしれない範囲ですが、Virtual Desktopのほうが少し少ないですね。
GPUの使用率を表す GPU Core (%)はVirtual Desktopのほうが高い結果となりました。実際に発揮されてるfpsがVirtual Desktop のほうが高いことから、よりVirtualDesktopのほうがグラフィックボードを全力で動かすことができ、性能を引き出すことことができるのかもしれません。
まとめ:Virtual Desktop のほうが優秀な可能性が高い
Streaming Assisat はPico4の発売と同時にリリースされたソフトで、登場時の評判が非常に悪かったことから、筆者は全く使ったことがありませんでした。今回試してみて、安定して動作することが確認でき、聞いていた評判程悪くはないと感じました。しかし、上記の計測結果からより良いfps を望むならVirtual Desktop を選択したほうが良いという結論になりました。
今回も単一の画質設定での測定かつ、かなり限定的なシチュエーションでの測定であるため、ありとあらゆる場面でVirtualDesktop のほうが優秀とは言い切れないところは前回の記事と同じです。とはいえ、Virtual DesktopはSteaming Assistant よりも、より高画質な画質設定を選択できますし画質を向上させるための追加機能もあるなど、Streaming Assistant にはない機能がいくつかあります。ですので、無線VRができる方には非常にお勧めです。
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